世界が変わった日。

今日明日とかけて、開発者にとってはとても大きな年に一度のイベントDevelopers Summit2010が催されています。「世界は変わった。開発の現場はどうか?」の言葉を掲げるこのイベントに、仕事の関係で丸一日は休めなかったのだけど、唯一今日の午前中だけ、参加してきました。

でも、この記事は、デブサミ2010の記事ではなくて、ただひたすらにわたしの一日を綴った日記。

デブサミ2010では、id:papanda0806さんの講演を聞きました。内容についてはきっと他のいろんな人が書いてくれているし、自分でまとめるのはあとにして。ただ一言だけ書くのなら、市谷さんが「信じる」と言い始めた瞬間から、涙がぽろぽろこぼれてきて、とまらなかった。
午後からは仕事があったため、残念だったけれど、デブサミを後にしました。でも、会社に戻って仕事をしていても、心に残った講演の余韻が消えなくて、ふとしたときに「次は君の番」という言葉を思い出しては、目が霞みそうになって我慢。どうしてこんなに心に突き刺さっているのかわからない、ほんとは市谷さんが一番伝えたかったのがなんだったのか、考えても言葉にできない。だけど、次はわたしの番だって思いました。角谷さんが投げて市谷さんが受け取り、三年をかけて市谷さんが温め、今日あの場で投げ返したそれを多くの人が受け取り、そして、次は、わたしの番。「次は君の番」。この言葉を反芻すると、十秒で泣けてしまうんじゃないかっていうくらい、講演が終わって12時間以上が経った今でも、12時間前と同じように心震える。

世界が変わった日。仕事の内容は変わらないし、出来ることも出来ないことも、悩みは悩みのまま、なにも変わらない。だけど、今日は、わたしの世界が変わった日。次はわたしの番。市谷さんが投げたバトンが、今、手元にあるような気がしてる。
本当は今日、仕事が休めなくてデブサミには行けないはずでした。それが、前日の夜にお休みをもらえることになって、行けることになって。市谷さんのあの講演をあの場所で聞いてしまった、その、責任。受け取ったバトンは重く感じるけど、重ければ重いだけ、きっと錨になるだろうという確信。市谷さんの話しを、もっと聞きたい。

世界が変わった日。仕事の内容は変わらないし、出来ることも出来ないことも、悩みは悩みのまま、なにも変わらない。そのはずなのに、今日を切欠に、確実に、少しずつ何かが変わっていく気がする。信じられないことは、午後にも起きました。同じ部門の上司に、すれ違い様にかけられた言葉。その言葉そのものをここに書くことは出来ないけれど、わたしがデザインに興味があることをその人は知っていてくれて、デザインが求められるそんな仕事がありそうで、仕事がきたら声をかける、と、言われました。信じられないと思った。デザインなんてまったく仕事の範囲外で、わたしがいる世界はSIの世界で、業務としてデザインが出来るだなんて思ってなかった。だから、今年はインプット→アウトプットをして業務以外でものをつくりたいって思ったし、そこでは思い切りデザインしようと思ってた。社内ベンチャー企業のCEOがデザインの重要性をつぶやくのを読んで、会社の中にもこんな風に考えている人がいるんだということを知って、それだけで、すごく嬉しかった。だけど、世界は変わる。優秀な人材を集めまとめている上司は本当にすごい人で、わたしも拾ってもらいたいと思ってた。けれど尖った技術を持っていないわたしは、その人のやることを一歩下がったところで見ているのが精一杯だと思ってた。それなのに、そうじゃなかった。本当は、自分で勝手に参戦することを諦めていただけで、そうじゃなかった。そんなわたしにもちゃんと視線を落としてくれて、機会を与えると言ってくれた。世界が、変わっていく。

好きなことを好きだ好きだと言っていてもしょうがない。嫌なことを嫌だ嫌だと言っていてもしょうがない。出来ることを出来ると自負することも、出来ないことを出来ないと嘆くことも、全部ぜんぶしょうがない。好きなことは、好きだという気持ちを持って貫けるくらい、好きになろう。嫌なことは、なぜ嫌なのかを考えて、それでも本当に嫌だと思うのならそこに変化を求めよう。わたしが技術的に持っているスキルでまわりに敵うことなんて、ほとんどなにもないに等しい。だけど、出来ないことを出来ないと言って終わることに慰め以外の意味がある? 出来るとか出来ないとか、どうでもいい。やりたいのか、やりたくないのか。出来るようになりたいのか、なりたくないのか。出来るようになりたいのなら、出来るようになればいい。やりたいのなら、やればいい。それでもやっぱり出来ないのなら、一緒に頑張ってくれる人たちと、共に月を目指せば良い。一人では無理なことでも、二人、三人、増えれば無理じゃないかもしれない。

世界が変わる。わたしが今日受け取ったバトンは、いつの日か誰かに返せるだろうか。絶対に、返してみせる。受け取った熱い思いを乗せたバトンに、さらにたくさんの気持ちを詰め込んで。その時は、どんな世界にいるんだろう。相変わらず悩んで、迷って、だけど、多くの人たちと笑いあって支えあいながら、少しずつ強くなっていける、そんな世界であれば良い。