「エレメント」構造デザイナー セシル・バルモンドの世界

セシル・バルモンドの個展へ行ってきました。展示されていた作品の中には、印象深く思う作品がいくつもあって、とても心惹かれる展示会でした。
気になった作品の一つ目は、会場の中に入った瞬間に広がっている、写真やイラストや言葉が書かれている大きなバナーが幾枚も下がる空間。迷路のようになっていて、くぐり抜けながら先に進むのだけど、その度に目に入る写真や言葉が心に滲む、とても居心地の良い空間でした :-) もっと時間をかけて、ひとつひとつの言葉を噛み砕きたかった。
二つ目は、レシプロカル・グリッドという作品で、数字の美しさをこれでもかというほどに感じさせてくれました。数字の持つ意味の、なんて美しい。すべてのものは数で表すことができて、宇宙の断片を理解しやすい形でわたし達の前に提示してくれる、それが数字。数字の持つ意味の、なんて美しい。
三つ目は、H_edgeという作品。これは中を歩けば歩くほど、気付きがありました。アルミプレートとチェーンは、2つが重なっているからこそこの空間ができているということ、強固な作りのようで実はものすごく脆いものでもあるのだということ、窓のように空いている空間はどこまでも突き抜けているのだということ。解説には「スポンジのような」と書かれていたけど、わたしはまるで細胞のよう、と感じました。複雑なようで単純、だけど計算されている、それが単純ということと矛盾しない、そんな不思議な空間。
それから、セシル・バルモンドのつくった建築物のパネルをたくさん見ることができました。その中でも、アラブの美術館が一番その場に立ってみたいと思ったかも。美術館の構造デザインというと、ル・コルビジェを思い浮かべてしまうのだけど、この2人の共通点と差異を調べてみるのもとても面白そう。
会場をひととおりめぐって感じたことは、アーティストは「そこにあるもの」をただ作っているのだということ。「そこにある」ということを伝えているということ。人が気付いていない「そこにあるもの」はこんなにも本質的で、単純で、そして美しい。そのことを建築物だけでなく言葉にをもしているセシル・バルモンドの書籍を読んでみたいな :-)

「エレメント」セシル・バルモンドの世界 http://www.operacity.jp/ag/exh114/